10月31日投開票の衆議院総選挙が終わった。
この選挙が政権選択選挙と位置付けられたのであれば、国民の信任は自民・公明与党へ託されたと言って良いだろうが、何か釈然としない結果と受け止めている。自民と立憲が失った議席を維新がまるまる持っていった根拠は何だったのか?・・・ここを探ることが今回の総括につながるのではないかと考えています。
では、維新がなぜ躍進できたのか?・・・私なりの考えを整理してみたいと思う。
躍進の要因を簡潔にまとめるならば、「改革」と「リアリティー」だったと考える。
維新の松井党首は選挙以前から何かにつけ「改革」というメッセージを発信し続けてきた。その上に吉村知事のコロナ対策や施策が「改革」と言葉とリンクして有権者へ「リアリティー」を与えていったのではないかと考える。反対に自民党の岸田総裁は「富の分配」と言いながら、所属議員のお金にまつわる不祥事続き、有権者からのNOにつながったのでなないかと考える。甘利幹事長や石原会長などの、大物議員と言われる人たちの結果がそれを裏付けているだろう。
有権者にとって国政とは、いつの世でも遠い存在なのかもしれない。片や、市長選挙や市議会議員選挙は身近に感じるのではないだろうか。自治体レベルの選挙の候補者は「どこどこの誰さん」と言った具合に、有権者にとって身近にその「人」を感じられるものである。維新は地域政党という利点をキチンと理解して、大阪エリアの自治体レベルからの積み上げにおいて強固な基盤を築き上げてきた。更に大阪府知事、大阪市長が維新の中心を担っていること自体が大きな象徴になって府民へ認識されているのだろう。
野党が本気で二大政党や政権与党を実現したいのであれば、もっともっと長期的なビジョンに持ち、自治体レベルから住民の信任を得る努力が必要だろう。そして有能な人材を市会議員や県会議員から育て上げる仕組みを作り、国政へ送りだしていくような長期の戦略が必要ではないだろうか。もちろん首長の座は必ず得ることは申し上げるまでもない。
脱資本主義社会においては「コモン」と呼ばれる自治集団の醸成が必要だと唱える学者がいる。地方分権が叫ばれてから25年以上経つのだろうか・・・。我々はそろそろ本気で中央主権・一極集中の既存のヒエラルキーから脱却する必要があると改めて考える選挙であった。